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【超映画批評】「おおかみこどもの雨と雪」40点

細田守監督の最新作は、おとぎ話のなかにリアルな出産子育ての物語を入れ込むという、極めて意欲的な作品である。

これを監督は、子供たちにとっては楽しいおとぎ話、若者にとっては、子育ての驚きと憧れ、そして親たちには子供の成長を懐かしがれるようにと、全年齢向けにアピールすべく脚本を作り上げた。

だが、それらはもともと混ざり合うことのできない要素であった。また、その試みにアニメーションというジャンルや彼のタッチが適切だったかについても疑問が残る。

この映画を見るとどこか落ち着かない気分にさせられる。生理的に受け付けないというか、演技も演出もくさくて見ていられないというものである。
それは、監督の考察の浅さに原因の一つがあるのではないかと思う。この監督が出産子育てを経験したことがあるのかどうか知らないが、作品を見る限りではどうもそれらを想像メインで描いているような、表層的なものを感じてしまうのである。

子作りから授乳シーン等、子供が見るアニメーションにしては意外性ある描写もあるが、そこから感じるのは生命の神秘や感動ではなく、そこはかとない居心地の悪さである。
なにしろコトの始まりは獣姦だ。国民的アイドル女優がエッサエッサとそんな場面を演じている。さすがの若き演技派、宮崎あおいもさすがにこれは初経験であろう。

それはともかく、音楽が流れっ放しの恋愛パートもわざとらしい。恋愛をやたらと美化、純化したがるのはオタクな人たちの特徴だと思うが、いったいなぜなのか。少しは不自然に思わないのか。

こうしたオタクアニメのひな形で純朴な絵本ファンタジーを作ってしまったような、しかも時折前述したような生々しい描写が入るという、きわめて食い合わせが悪い作品である。

この監督の特徴である女性キャラの号泣シーンも、相変わらず盛大にわんわんやっていて見ていて気恥ずかしい。あまりにもくさすぎる。キャラクターの満面の笑顔も、へたくそな女優の0か100かの単純な表情づくりをみているようで共感しにくい。
ここであげたようなオタクアニメ臭がなければ、決して悪い企画ではなかったと思う。だがそれがかもしだす居心地の悪さが、ときに作家の狙いだの作品のテーマを考えるのも嫌にさせてしまうことがあるのだ。このマイナス点について、作り手側は一度考えてみてほしい。


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